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コラム

  • 呼吸器内科クリニック経営はどうなる?これまでの変化から見る、今後に必要な戦略とは

    「内科一般」で安定収益を得られた時代は変わり、これからはクリニックも専門性と経営の効率化が必須と言われています。
    特に呼吸器内科の専門知識は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)や在宅酸素療法(HOT)など、地域で求められる高収益な専門医療に直結する大きな強みになります。
    今回は、近年の医院数推移のデータをもとに、従来のモデルがなぜ難しくなったのかの理由と、呼吸器内科において専門性を最大限に活かして成功するための経営戦略をお話しします。
    そして、新しい高付加価値型のクリニックを、低リスクで引き継ぐ「事業承継」という選択肢をご紹介します。

    呼吸器内科診療所の開業・廃業動向

    内科全体の休廃業データから見る地域医療の構造変化

    帝国データバンクの調査によると、診療所全体の休廃業・解散件数は過去最多の587件に到達しており、この数字は医療資源の消失が加速していることを示しています。
    休廃業の主な要因は、開業医の高齢化と、制度改正やコスト増に伴う経営環境の悪化です。
    引退期を迎える医師が増える一方で、後継者が見つからない「廃業」が増加しており、長年地域で培われた患者基盤や設備が失われています。

    2024年の診療報酬改定が専門診療にもたらした収益再編

    2024年の診療報酬改定は、内科系クリニックの収益構造に大きな影響を与え、約7割が減収に見舞われました。
    処方箋料の引き下げは安定的な収益源を圧迫し、さらに生活習慣病管理料の対象疾患からの主要疾患(高血圧・糖尿病など)の除外は、旧来型「内科一般」モデルの収益を大幅に減少させました。
    この結果、専門外の一般診療に依存していたクリニックは、収益基盤の再編を迫られています。

    専門領域による「高付加価値型クリニック」への転換

    収益の柱となるニッチ領域:SAS・HOT診療の確立

    呼吸器内科医が今後の経営を安定させるには、一般診療だけに依存せず、高度な専門性を収益源とすることが不可欠です。
    睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査・治療や、在宅酸素療法(HOT)などのニッチな専門領域に特化することで、競合との差別化を実現し、安定した収益源を確立できます。
    専門性が高いほど、地域で求められる高付加価値型の医療提供が可能となります。

    地域で求められる専門医療の提供と競合との差別化

    高い専門性は、地域連携における紹介(リファーラル)を安定させ、集患力を強化します。
    専門分野を明確にすることで、特定の疾患に悩む患者からの指名受診が増加します。
    このような専門特化型クリニックは、幅広い診療を行う一般クリニックとの差別化が進み、結果として地域医療の中で独自の優位性を確立します。

    経営の持続性を高める医療DXと運営効率化

    人的コスト削減と質の向上を実現するDXの活用

    専門特化戦略を成功させるためには、運営の効率化が必須です。
    オンライン診療、予約システムなどの医療DXを導入することで、煩雑な受付・事務作業などの人的コストを削減し、経営効率化を実現します。
    この効率化は、コスト削減だけでなく、医師が専門診療に集中できる時間を増やし、サービスの質を向上させます。

    旧来型モデルを脱却した高効率な診療体制の構築

    医療DXは、旧来の紙ベースの運営モデルから脱却し、高効率な診療体制を構築するための基盤となります。
    事務作業の効率化は、将来的な人件費や運営コストの増加に耐えうる強固な経営体質を作り上げます。
    これにより、医師は増加する経営負荷から解放され、専門的な業務に専念できる環境を整備できます。

    新規開業医のための事業承継戦略:優位性の確保

    既存の経営資産を活かした新規参入のメリット

    新規開業を目指す呼吸器内科医にとって、休廃業が増加する波の中で、事業承継は非常にメリットの大きい選択肢です。
    承継により、ゼロからでは獲得に時間と労力がかかる「既存の患者基盤」「専門設備」「地域からの信頼」といった貴重な経営資産を即座に引き継ぐことが可能です。
    これにより、開業後の集患期間を大幅に短縮し、経営の早期安定が見込めます。

    初期投資リスクの軽減と安定した患者基盤の獲得

    高額な初期投資(内装、専門機器導入など)を大幅に抑えられることも承継の大きな利点です。
    さらに、承継対象が既にSASやHOTなどの専門分野に特化している場合、生活習慣病管理に過度に依存しない、安定した専門分野の患者層を即座に引き継げます。
    前任医師が培った専門的な知見やノウハウも継承できるため、新規開業医はリスクを軽減しつつ、自身の専門性を最大限に活かした理想的なスタートを切ることが可能です。

    まとめ

    診療所の開業・廃業動向は、医療機関に専門特化と経営効率化を強く求めています。
    呼吸器内科医がこの転換期に新規開業を成功させるためには、高付加価値化されたクリニックの事業承継が最適な戦略となります。
    既存の経営資産と安定した収益基盤を継承することは、リスクを抑え、地域医療に持続的に貢献するための最も有効な手段です。

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