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  • 医院譲渡の税務対応とは?スムーズな手続きを実現するポイント!

    長年培ってきた医院の運営ノウハウ、そして患者さんとの信頼関係。
    医院の譲渡は、それらを未来へ繋ぐ重要な決断です。
    しかし、同時に税金に関する複雑な手続きや、多額の費用負担を伴う可能性も秘めています。
    適切な準備なく譲渡を進めれば、思わぬ税金トラブルに見舞われるリスクも避けられません。

    スムーズな譲渡を実現し、将来の不安を解消するためには、税務面での知識と準備が不可欠です。
    そこで今回は、医院譲渡における税務対応のポイントを解説し、円滑な事業承継をサポートします。

     

    医院譲渡の税務対応

     

    譲渡所得税の計算方法

     

    医院を譲渡する際、最も大きな税金負担となるのが譲渡所得税です。
    その計算方法は、譲渡形態(個人名義か医療法人名義か)によって大きく異なります。

    個人名義の場合、譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いた金額が譲渡所得となり、累進課税(税率5%~45%)と住民税(10%)が課税されます。
    一方、医療法人名義で出資持分を譲渡する場合は、申告分離課税(所得税15%、住民税5%)が適用され、税負担は軽減されます。

    例えば、譲渡所得1,000万円の場合、個人名義では約2,764万円、医療法人名義では200万円の税金が発生する可能性があります。
    この差は、医療法人化による節税効果の大きさを示しています。

     

    消費税・登録免許税の解説

     

    医院の譲渡においては、医療機器や備品などの有形資産の譲渡には消費税が課税される場合があります。
    また、不動産の譲渡には登録免許税も発生します。
    登録免許税の税率は譲渡方法(売買、相続、贈与など)によって異なり、不動産の価額を基準に計算されます。

    例えば、不動産価額1億円の場合、売買の場合は17万円~20万円程度、相続の場合は4万円程度、贈与の場合は20万円程度の税金が発生する可能性があります。

     

    相続税・贈与税の注意点

     

    医院を相続または贈与する場合、相続税または贈与税の納税義務が発生します。
    相続税は被相続人の全財産を合算して計算され、税率は最大55%と高額です。
    しかし、事業承継税制の活用により、納税猶予や控除を受けることが可能です。
    贈与税についても、事業承継税制の適用条件を満たせば、税金が免除される場合があります。

    ただし、医療法人における出資持分の相続や贈与は、税制上の複雑な処理が必要となるため、専門家への相談が不可欠です。

     

    医療法人の税務メリット

     

    一般社団法人との比較

     

    医院の運営主体として、医療法人と一般社団法人のどちらを選択するかも重要な税務上の検討事項です。
    一般社団法人は非営利団体であり、利益の分配が制限されるため、税制上の優遇措置は少ないです。

    一方、医療法人は医療関連事業に特化した法人形態であり、税制上の優遇措置を受けやすく、節税効果が期待できます。
    設立費用や手続きの複雑さにおいても、一般社団法人の方が比較的容易です。

     

    医療法人化による節税

     

    医療法人化は、税負担軽減に大きく貢献します。
    法人税率は個人事業主よりも低く抑えられ、利益の再投資や計画的な分配により、長期的な節税効果が期待できます。
    さらに、退職金制度を活用することで、譲渡所得税よりも税負担を軽減できる可能性があります。
    長年経営に携わった院長にとって、退職金による節税は大きなメリットとなります。

     

    医療法人の設立手続き

     

    医療法人の設立には、医療法に基づいた複雑な手続きが必要となります。
    設立費用も一般社団法人よりも高額になる傾向があります。
    ただし、専門家のサポートを受ければ、スムーズな設立が可能です。

     

    まとめ

     

    医院の譲渡は、税務上の複雑な手続きと費用負担を伴う重要な決断です。
    譲渡所得税、消費税、登録免許税、相続税、贈与税など、様々な税金が関係するため、専門家への相談が必須です。

    個人名義での譲渡と医療法人名義での譲渡では税負担に大きな差が生じます。
    特に、医療法人化による節税効果は高く、事業承継においては大きなメリットとなります。
    円滑な事業承継と税務リスクの軽減のため、医療法人化やM&Aといった選択肢を検討し、税理士などの専門家と綿密な計画を立てることを強くお勧めします。

    当社は、開業支援を通じて培った関西地域の診療所との直接的な結びつきを持っています。
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