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  • クリニック譲渡における価格交渉の成功戦略とは?スムーズな売買を実現するために!

    クリニック経営を長く続けられてきた方は、いよいよ事業承継について真剣に考え始められているのではないでしょうか。
    後継者不足や高齢化、あるいは新たな挑戦への意欲など、承継を検討する理由は様々でしょう。
    しかし、クリニック譲渡という大きな決断には、譲渡価格の算定から交渉、そして税制面や資金調達まで、多くの課題が複雑に絡み合っています。

    この先、スムーズな承継を実現するためには、綿密な計画と準備が不可欠です。
    今回は、クリニック譲渡価格交渉の成功戦略について解説します。
    不安や疑問を解消し、自信を持って未来へ踏み出せるよう、サポートさせていただきます。

     

    クリニック譲渡価格の算定

     

    時価純資産法による算定

     

    時価純資産法は、クリニックが保有する資産(土地、建物、医療機器など)の時価を合計し、負債を差し引くことで純資産を算出する方法です。
    この純資産額が、譲渡価格の基礎となります。
    ただし、すべての資産を正確に時価評価するのは困難なため、土地や主要な医療機器など、特に含み益・含み損の大きな資産については、専門家の評価を仰ぐことが重要です。
    また、減価償却の進み具合や市場価格の変動なども考慮する必要があります。

     

    収益力分析による算定

     

    収益力分析では、クリニックの過去の収益実績や将来的な収益予測に基づいて譲渡価格を算定します。
    具体的には、過去3~5年の営業利益やEBITDA(利払前税引前償却前利益)を分析し、将来の収益性を予測します。
    この予測に基づき、営業権(のれん)の価値を算出し、時価純資産額に加えることで譲渡価格を決定します。
    高収益なクリニックほど、営業権の価値が高く評価されます。
    自由診療の比率が高いクリニックや、地域での高い知名度を持つクリニックは、より高い評価が期待できます。

     

    その他の算定方法

     

    時価純資産法と収益力分析以外にも、マーケットアプローチ(類似クリニックの取引事例を参考に価格を決定する方法)などが用いられる場合があります。
    しかし、医療機関のM&A事例は公開情報が少ないため、この方法は必ずしも適用しやすいとは限りません。
    最終的な譲渡価格は、これらの方法を組み合わせて、売り手と買い手の交渉によって決定されます。

     

     

    クリニック譲渡交渉の成功戦略

     

    交渉における重要ポイント

     

    譲渡価格交渉では、売り手と買い手の双方が納得できる価格を見つけることが重要です。
    そのためには、事前に綿密な準備を行い、譲渡価格の根拠となる資料を明確に提示することが不可欠です。
    また、交渉相手との信頼関係を築き、円滑なコミュニケーションを心がけることも成功の鍵となります。
    感情的な対立を避け、冷静に議論を進めることが重要です。

     

    財務諸表の適切な整理

     

    交渉をスムーズに進めるためには、クリニックの財務諸表を正確に整理し、分かりやすく提示することが重要です。
    個人資産とクリニック資産を明確に区別し、会計処理に不備がないかを確認しましょう。
    専門家の協力を得ながら、財務諸表の信頼性を高めることで、買い手の信頼を得やすくなります。
    不明瞭な点は事前に解消しておきましょう。

     

    専門家への効果的な相談

     

    税理士、弁護士、M&Aアドバイザーなど、専門家の協力を得ることは、譲渡価格交渉を成功させる上で非常に有効です。
    専門家は、譲渡価格の算定方法、税制上の優遇措置、契約書の作成など、様々な面でアドバイスを提供してくれます。
    専門家の意見を参考に、より適切な判断を下すことができます。
    専門家の意見は、交渉の強い味方になりますよ。

     

    税制面での優遇措置

     

    クリニックの事業承継には、相続税や贈与税の優遇措置が適用される場合があります。
    具体的には、事業承継税制を活用することで、税負担を軽減できます。
    しかし、優遇措置を受けるためには、一定の要件を満たす必要があります。
    事前に税理士に相談し、適用可能な優遇措置を検討しましょう。
    適切な手続きを踏むことで、大きな節税効果が期待できます。

     

    資金調達方法の検討

     

    譲渡価格の支払いに必要な資金をどのように調達するかは、買い手にとって重要な課題です。
    自己資金に加え、銀行融資、日本政策金融公庫などの公的融資、M&Aファンドからの投資などを検討できます。
    それぞれの資金調達方法にはメリット・デメリットがあるため、事前に比較検討し、最適な方法を選択しましょう。
    資金繰り計画を綿密に立て、余裕を持った資金調達を心がけてください。

     

     

    まとめ

     

    クリニックの事業承継は、経営者にとって大きな転換期であり、譲渡価格交渉は成功への重要なステップです。
    本記事で解説した時価純資産法や収益力分析による価格算定、そして交渉戦略、税制面での優遇措置、資金調達方法などを総合的に検討することで、スムーズな事業承継を実現できます。
    M&A仲介会社などの専門家の活用も検討し、最適な承継プランを策定することで、クリニックの未来をより明るいものにすることができるでしょう。
    困難な道のりではありますが、綿密な計画と準備によって、成功への道を切り開くことが可能です。

    当社は、これまで多くの診療所や医療法人の事業継承をサポートしております。
    後継者に悩む診療所や医療法人をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

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