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  • 医院M&Aの流れとは?メリット・デメリットを解説します

    高齢化が進む日本において、医療機関の事業承継は喫緊の課題となっています。
    特に、医師の高齢化や後継者不足は、地域医療の維持に深刻な影響を与えかねません。
    しかし、適切な事業承継戦略を立てることで、安定的な医療提供を継続し、医療機関の価値を高めることが可能です。

    そこで今回は、医院M&Aの流れをステップごとに解説します。
    スムーズな承継を実現するための重要なポイントを、具体的に見ていきましょう。
    将来を見据えた戦略を検討する上で、この記事が役立つことを願っています。

     

    医院M&Aの流れ

     

    準備段階と検討事項

     

    まず、M&Aを始める前に、自院の現状を正確に把握することが重要です。
    具体的には、財務状況の分析、医療サービスの現状評価、従業員の状況把握、そして、将来のビジョンを明確にする必要があります。

    さらに、M&Aの目的を明確化し、どのような相手と連携したいのか、どのような未来像を描いているのかを具体的に記述した事業計画書を作成しましょう。
    これは、買い手候補との交渉において、自院の魅力を伝える上で非常に重要な資料となります。

    また、税理士や弁護士などの専門家と連携し、法的な問題点や税務上の課題を事前に確認しておくことも不可欠です。
    特に、医療法人の種類(持分あり・なし、社団・財団)によって手続きが大きく異なるため、専門家のアドバイスは必須です。

     

    相手探しと交渉

     

    準備段階が完了したら、次に買い手候補を探します。
    仲介業者を利用する方法や、直接交渉する方法など、いくつかの方法があります。

    しかし、いずれの方法においても、相手先の財務状況や経営理念、医療サービスの方針などを綿密に調査するデューデリジェンスが重要になります。
    交渉段階では、譲渡価格や譲渡条件だけでなく、従業員の雇用条件や患者情報の取り扱いについても、詳細な協議が必要です。

    さらに、交渉は、双方が納得できる合意点を見つけるための、時間と労力を要する作業であることを理解しておきましょう。
    合意に至るまでには、複数回の交渉や条件変更が伴うことも珍しくありません。

     

    契約締結と手続き

     

    買い手と売り手の間で合意に至ったら、正式な契約を締結します。
    この契約書には、譲渡価格、支払方法、譲渡時期、従業員の雇用条件、患者情報の取り扱い、その他重要な事項が詳細に記載される必要があります。

    契約締結後には、医療法や関連法規に基づいた様々な手続きが必要となります。
    具体的には、定款変更、役員変更、許認可申請、登記手続きなど、複雑な手続きが多数存在し、専門家の支援が不可欠です。
    これらの手続きには、時間と費用がかかるため、余裕を持ったスケジュールを立てることが重要です。

     

    譲渡完了と移行

     

    すべての契約と手続きが完了したら、いよいよ譲渡が完了します。
    譲渡後も、円滑な移行をスムーズに進めるために、買い手と売り手間の協力体制が不可欠です。
    具体的には、従業員の教育、患者への情報提供、業務の引継ぎなど、綿密な計画と実行が必要です。

    また、移行期間中は、トラブル発生の可能性も考慮し、迅速な対応体制を整えておく必要があります。
    特に、患者への影響を最小限に抑えるための対策は、非常に重要です。

    医院M&Aのメリットとデメリット

     

    M&Aのメリット

     

    医院M&Aには、様々なメリットがあります。
    まず、後継者不足問題の解決が挙げられます。
    高齢化による医師の引退や後継者不在は、地域医療の大きな課題となっていますが、M&Aはこれを解決する有効な手段となります。

    加えて、経営効率の向上も期待できます。
    例えば、経営資源の共有化や業務の効率化によって、コスト削減や収益増加に繋がる可能性があります。

    さらに、専門人材の確保や病床数の拡大、地域医療への貢献といったメリットも享受できます。
    また、既存の施設や設備、患者基盤を引き継ぐことができるため、新規開業に比べて初期投資を抑えられます。

     

    M&Aのデメリット

     

    一方、M&Aにはデメリットも存在します。
    まず、交渉や手続きに時間と費用がかかる点が挙げられます。
    複雑な手続きや、予期せぬ問題が発生する可能性もあり、スムーズに進まないケースも少なくありません。
    さらに、経営理念や医療方針の違いによる摩擦や、従業員の雇用問題、患者への影響なども考慮しなければなりません。

    また、譲渡価格の決定において、双方の合意を得ることが難しい場合もあります。
    さらに、医療法人の種類や規模によって、M&Aの手続きや条件が大きく異なるため、十分な事前調査と専門家のアドバイスが必要となります。

     

    まとめ

     

    医院の事業承継は、単なる経営者の交代ではなく、地域医療の未来を担う重要な課題です。
    後継者不足や高齢化といった問題に直面している医療機関にとって、M&Aは事業継続、さらには発展のための重要な選択肢となります。

    しかし、M&Aは複雑な手続きやリスクを伴うため、十分な準備と専門家のサポートが必要です。
    今回解説した流れを参考に、自院の状況を的確に把握し、専門家の協力を得ながら、最適な事業承継戦略を策定することをお勧めします。

    当社は、診療所や医療法人の事業継承を手厚くサポートいたします。
    継承前から継承後まで支援いたしますので、関西エリアでお困りの方はぜひ当社にお任せください。

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