COLUMN
コラム

  • 医療法人で禁止されている収益事業とは?医療法人運営の注意点

    医療法人の設立・運営には、医療法に基づいた適切な事業運営が不可欠です。
    特に収益事業に関する規定は複雑で、誤った解釈による事業展開は行政指導の対象となる可能性も。
    医療法人の種類や附帯業務・付随業務との違いを踏まえ、医療法人で禁止されている収益事業について解説します。
    今回は、医療法人経営におけるコンプライアンス遵守の一助となれば幸いです。

     

    医療法人が行うことができる業務

     

    本来業務とは?

     

    医療法第39条に基づき、医療法人の本来業務は病院、診療所、介護老人保健施設、そして介護医療院の運営です。
    これらは医療法人が存在する根本的な目的であり、医療提供の中核を担います。

     

    附帯業務とは?

     

    医療法第42条に規定される附帯業務は、本来業務に付随し、医療法人の目的達成を補完する業務です。
    具体的には、医療関係者の養成・再教育、医学・歯学に関する研究所の設置、へき地診療所等の開設、疾病予防施設の設置、保健衛生に関する業務(薬局、訪問看護ステーション、居宅介護支援事業所など)、社会医療法人限定の社会福祉事業、有料老人ホームの設置などが挙げられます。
    これらの業務を行うには、定款への明記と都道府県知事の認可が必要です。

     

    付随業務とは?

     

    厚生労働省の見解によれば、付随業務とは、本来業務に直接付随し、医療提供や療養向上に資する業務を指します。
    例えば、院内売店、患者・職員用駐車場の運営、患者搬送などが該当します。
    これらの業務は、本来業務の一部とみなされ、定款変更や認可は不要です。

     

    医療法人で禁止されている収益事業とは?医療法人運営の注意点

     

    医療法人ができない収益事業の例

     

    医療法人は、営利を目的とした事業を行うことができません。
    収益事業として認められない例としては、不動産投資(患者や従業員に関係のない不動産賃貸)、金銭貸付、医療機関への看護師派遣などが挙げられます。
    これらの事業は、医療法人の公益性と相反する可能性があり、行政指導の対象となる可能性があります。

     

    収益事業を行ってしまった場合のリスク

     

    医療法人が禁止されている収益事業を行った場合、都道府県知事から業務改善指導や認定取消などの行政処分を受ける可能性があります。
    最悪の場合、医療法人の解散命令に至るケースも考えられます。

     

    社会医療法人と収益業務

     

    社会医療法人は、医療法第42条の2に基づき、本来業務に支障のない範囲で収益業務を行うことができます。
    ただし、収益業務の種類は厚生労働大臣が定めるものに限られ、その収益は本来業務の経営に充てる必要があります。
    収益業務として認められるものには、不動産賃貸業、駐車場業、医業経営相談業、飲食業などが含まれます。
    しかし、風俗営業、武器製造業、遊戯場など、医療法人の社会的信用を損なう恐れのある事業は禁止されています。

     

    医療法人経営の相談窓口

     

    医療法人経営に関する疑問や不安は、各都道府県の医療法人担当窓口や、厚生労働省に相談することができます。
    また、専門家である弁護士や税理士に相談することも有効な手段です。

     

    まとめ

     

    医療法人は、公益性の高い法人として、医療提供を主たる目的としています。
    収益事業に関する規定は複雑であり、医療法人の種類によって許可される範囲も異なります。
    医療法人の健全な運営のためには、医療法に精通し、コンプライアンスを遵守した事業展開を行うことが重要です。
    専門家のアドバイスを受けることも、リスク管理の観点から推奨されます。
    今回は、医療法人関係者の皆様の一助となれば幸いです。

一覧へ戻る