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  • 今、歯科業界に何が起こっているのか?~人生を活き活き楽しく生きるために!!

    今、医療業界に何が起こっているのか?

    コロナで令和4年には約3%程度医療費が下がり、皆様厳しい経営を強いられました。

    これは医科、歯科ともに大きく経営を揺さぶられました。

    歯科の業界では、歯科のクリニックが現在67,614件あり、令和2年度には2,190が廃院、または休診をされています。

    一方、令和2年には1,565件新規開業をされています。

    今、日本の全国の歯科大学は29大学あり、大学の定員は2,468人で、実際に年間に歯科医師試験に合格されるのは2,006人(2023年/受験者3,157人、合格率63.5%)となっています。

    大変な時代となりました。

    10年後には歯科業界は相当に様変わりが起きると思っています。

    近い将来に辞める先生が多くなっていますが、一方開業する先生が少ないというようなことが起きると思います。

    現在、80数歳で診療されている先生はおられますが、殆どが70歳前後に廃院を検討されている先生が多い状況です。

    30数年診療をされて、施設も機器も同じように年齢を重ねておられます。

     

    では、どのようにして辞めようか、今の患者さんをどうする、お世話になったスタッフをどうする?

     

    すべてを一人でお悩みの先生が多いと思います。

    これが実態ですね。

    テナントでの開業の先生は辞めるにも賃貸契約の約定での現状復旧がいくらかかるか、今来ている患者さんをどうする?(大体、新患を断って患者を減らしておられます)土地・建物を所有している先生は別のお悩みが出てきます。単純に辞めさせてもらえないことが現状です。

    一方、患者さんをたくさん幸せにしてあげて、自分には楽しい時間を貰えたかな?と思いの先生が多いと思います。

    では、どこかで踏ん切りをつけないとお思いの方がいかに多いか?

    これを読んで頂いている先生方、どうですか?

    これからどうするかとお思いの先生へ第二の人生を楽しんでいただきたいと思っております。

    そのお手伝いを保険医さんと協業して先生を支援致しますので、何でもご相談ください。

    先生は椅子にドンーと椅子に座って頂いているだけで結構ですので、どうぞよろしくお願い致します。
    ありがとうございました。

     

    事業承継はどのようにやるの?

    現在国内には6万7,853件の歯科医院があり、2,190件が閉院されていますが、その最大の理由は高齢化、後継者不足、病気や死亡、設備投資の負担、慢性的な人手不足、経営不振、競合が隣接地に開設など様々な理由になっています。

    この中で、最大の理由は高齢化と思われます。

    辞められる年齢は70歳前後が多く、体力、気力、視力、技術の衰えなどです。

    逆に新たに開業される先生は1,500件程度で、実際に承継されている件数は出ていませんので、それより多い先生が新たに開業されているものと思われます。

    承継の一般的な流れですが、閉院または承継を考えられている先生からご相談があった時点で、ヒアリングをさせて頂くと同時に、3期分の決算書を頂き、この決算書を元に企業評価(デューデリジェンス=DD)をさせて頂き、これを先生へフィードバックをさせて頂いて、納得いく譲渡金額を確認させて頂きます。

    その後に弊社にて譲受の候補の先生を探します。

    この段階ではノンネームシートという施設を特定出来ないようにして、弊社が抱えている開業希望の先生、ホームページ、業務提携先、M&A専用のプラットフォームへの掲載(会員制)、他インターネット等を利用して譲受希望の先生を見つけます。

    見つかりましたら、その先生と秘密保持契約を締結し、譲渡される先生への同意を得て、譲受を希望する先生へ情報公開を行います。

    いよいよ次のステップはトップ面談です。

    そこで双方の同意が確認できると基本合意書を結びます。その後、双方の意見を確認しながら、詳細な事項を詰めていき、最終的に譲渡契約を締結します。

    この後は、締結した内容に沿ってクリニックの事業譲渡を実行して行きます。

    しかしながら経験上、なかなかここに至るまで紆余曲折があることが事実です。

    先生同士でここに至ることは非常に厳しいと思いますので、これらのことは外部の専門家へ依頼することをお勧めします。

    成功の成否はめぐり逢いとタイミングと人間の欲ではないかと思います。

    一番大切なことは、患者さんをちゃんと引継いでくれる先生を見つけることだと思いますので、その軸がぶれないことが重要と思います。

     

    事業承継のメリットとデメリット

    国内で開業される先生は医科、歯科共に圧倒的に新規で開業されるケースが多い状況です。

    新規開業は以前にお伝えしました通り、医科は8,700件・歯科では1,563件(2019年)です。

    そこで新規か承継による開業かを検討したいと思います。

    新規の場合の利点は何かと申しますと、一つは立地の選定、開業時期を選択、規模設定も自由に描けるなど、フリーアドレスでの夢の実現です。

    一方、建築の費用(戸建て、テナントにより変わる)、機器の費用、運転資金などの費用が嵩むことが事実です。

    診療科より変わりますが、テナントでの開業の場合、心療内科等=30,000千円~眼科等=1.5億円と投資が大きい状況です。

    現在、特に建築費が高騰しており、テナント開業でも何と一坪当たりの建築費が60~80万円となっている状況です。

    10年前とは隔世の感があります。

    国際的に円安になっていることや、材料費の高騰、人手不足が起因しているものと思います。

    次に、承継についてお話をします。

    医科・歯科で年間約11,000件が廃院・閉院されていますが、その中で、どうでしょう、新規で開業しようとする先生方が納得されるような承継案件のクリニックはかなり絞られます。

    何といっても、夢を描いて案件を探されていますので、建物・設備が古かったり、アクセスに難ありや、機器の更新が必要、フロアが2階以上、少子高齢化が進むエリアに所在している等の案件は拒絶される現状です。

    私見ですが、廃院・休診を考えられている施設の概ね2割~3割程度が承継対象ではないかと思います。

    今、新規で開業する場合、小規模の歯科医院の開業の場合でも、凡そ20坪前後の面積で、内装工事費が20坪×75万円、機器及び電子カルテ、材料費、什器等で2.5~3千万円、生活費を含む運転資金として5か月分(180万円/月)などで合計は約5~5.5千万円程度となります。

    これにテナントの保証金、ホームページ作成、広告宣伝費、スタッフ募集費用など初期費用が5~7百万円程度と費用が嵩みます。

    凡そ合計約6千万円程度となります。

    一方、事業承継の場合、買収費+運転資金+改修費+機器更新などで、案件により費用は変わりますが、新規開業と比較して5割~6割程度に抑えられ、更に既に患者さんがおられますので、リスクはかなり抑えられると思います。

    費用やリスクの観点から、良い承継案件があれば一考の価値があると思います。

     

    事業承継の課題とは?~注意すべきポイントについて~

    事業承継の課題はやはり譲渡価格と譲渡のタイミングが最も課題となります。

    譲渡側は少しでも高く譲りたいですし、譲受側は少しでも安く譲ってもらいたいと思っています。

    必然的にここが争点となります。

    譲渡金額についてはいろいろの評価がありますが、例えば、年間のレセプト件数×〇万円、年間の収益(院長の給与+家族の給与+接待交際費+法人の場合は法人の利益等)×〇年等、という指標がありますが、いずれも現在の診療状況により変わることになります。

    一方、譲受する先生は譲受するクリニックの現在の売上を維持できるかとても不安に思っていることが多く、そのため価格の折り合いがつかないことがあります。

    譲受の先生の多くが30歳台であり、貯蓄がない先生が多く、成約まで至らないケースが多々あります。

    では、どのようにすべきか!元々譲渡される先生の目的は高く譲ることではなく、現在来院される患者さんを引き継いでくれることが最優先事項と考えている先生が多く、そのため譲渡される先生は譲受される先生の人物評価とともに、譲渡する金額について譲歩されることが重要と思います。

    また、これらの事業承継を支援する会社では譲渡金額により手数料が上下するため、少しでも高くしたい傾向にあるため配慮が必要です。

    次に、譲渡時期ですが、譲受を希望する先生の多くは勤務医であり、勤務の関係から毎年4月から6月の人事異動時のタイミングか、退職の6か月前に勤務先へ告知する必要があり、いつでも譲受が可能という先生は少なく、譲渡される先生はそのことを念頭に置かれることが必要です。

    タイミングは譲渡側でなく、譲受側の要望になる傾向が強い状況です。

    譲渡する側がいくら独りよがりを言われても、譲受される先生がいなければ承継は成立しません。

    譲渡のタイミングは人事異動のタイミングになることを踏まえて進める必要があります。

    クリニックの譲渡をお考えの先生は何となくではなく、具体的に譲渡する時期を早めに設定し行動を起こされることが重要となります。

     

    事業承継の成功例・失敗例

    成功するか否かは、来院患者数と医業収支の状況にかなり左右されます。

    医業収入が出来れば年間5000万円以上あれば、承継の可能性はグッと上がります。

    さらに、建物や機器の経年数も大きなポイントです。

    通勤のこともあり開業地にも関心が高いです。

    開業を目指す先生の年齢は30歳代が多く、開業という夢を抱いて案件を見に来られます。

    譲渡側の意向とは関係なく厳しい目でチェックされるため、これまで延々と築いてきたクリニックを他人から批判されるような感じを受けることも少なくありません。

    感情を逆なでされますが、やはりここは我慢して、患者さんを引き継ぐことを第一に考えて冷静に対応されることをお勧めします。

    実例をお話します。

    大阪府下のクリニック(医科)は医業収入が約8500万円、内収益は約3500万円を上げていました。

    院長は70歳をもって引退すると宣言し、承継先の紹介を依頼されました。

    患者さんも多いことから譲受を希望する先生が10人現れましたが、全員辞退をされました。

    最大の理由は、譲渡する院長が培ってきた患者さんとの信頼関係や親密度を自分も築けられるか不安になったことが挙げられます。

    また、建物の老朽化、機器の更新の必要性、2階のテナントでエレベーターがないこともマイナスに作用しました。

    結局、このクリニックの承継は11人目で着地しました。

    11人目は訪問を中心に運営している法人でした。

    現在継続して診療していますが、診療所名は以前のままになっています。

    元院長とは全く関係がないクリニックですが、患者さんはそうは思いません。

    クリニックの名称使用を認めたものの、契約書で使用期限を定めておくべきでした。

    弁護士を通じて契約内容をチェックしましたが、この点だけは反省しています。

    今、自分のクリニックをどう畳むかご検討中の先生方にお伝えしたのは、①早い時期から閉める時期を決める②その相談を専門の会社と相談する③欲張らないこと――だと思います。

     

    事業承継は誰に頼んだら良いか?

    事業継承を誰に頼んだらよいか?

    これまでクリニックの事業承継について話をしてきましたが、ではどのように、いつのタイミングで譲渡した方がよいか?と多くの先生が悩まれていることと思います。

    相談するにしてもスタッフにも友人にも相談し辛いテーマなので、悶々と悩んでおられている先生が多いのではないかと思います。

    譲渡の相談先としては、税理士、会計士、証券会社、地銀、薬品卸会社、歯科機器メーカー、歯科機器商社、M&A会社、医療専門のコンサルタント会社などがあります。

    最近は業界とは関係なく多くの会社や個人の方が事業承継の取組をされています。

    この間、M&Aの勉強会がありましたので参加しましたが、なんと100名以上の参加者がおられ、この多さに私もびっくりしました。

    歯科業界を含め多くの業界で人材不足が謳われていますが、どの業界も後継者不足は深刻なことになっています。では、誰に承継者の探索を依頼するのか?私の経験から、やはり医療に特化したM&A会社が良いと考えます。

    それから費用も重要です。同業者で事業承継の費用が最低1千万円という事業者もあり、この点も特に留意が必要です。

    更に、これまで再三お話していることがアドバイザリー契約のなかで他社を排除する契約です。

    いわゆる専属契約を迫る内容です。

    業者側は承継が出来ない場合でも責任はありませんが、譲渡する先生には他業者との交渉にはペナルティーを取るという、手前勝手なことが横行しています。

    現在、インターネットで多くの会社がホームページを掲載していますので、複数の会社と面談か、電話での問い合わせをされまして、同意、納得する会社を選んで、採択されることをお勧めします。

    注意すべきは、信頼できる会社・担当者か、費用はどうか、アドバイザリー契約でのペナルティーはどうかなどの確認が重要です。

    話は違いますが、先日お会いした70歳過ぎ先生ですが、スタッフのことや患者さんのことを思うとなかなか辞めることができないと言われていました。

    そこで私から先生自身のことはどうですか、これまでみなさんのために沢山貢献されて来たんですから、これからは自分のために生きられることをお勧めしました。

     

    事業承継での費用はいくら?~収入と支出について~

    事業継承や閉院の場合、費用はいくらぐらいかかるのか?はとても不安ですし、懸念材料ですね。

    また、少ない経験からですが、ご自身の高齢化や持病、体力・視力の低下、更には親族の看病の発生など、多くの悩みを抱えられておられる先生が多々居られます。

    更に悩みは、閉院する手続きの面倒さ、現職員の処遇をどうしたものか、更には、これまで診てきた患者さんをどうするのかなど、切っても切れない悩みが出てきます。

    また、お辞めになるご自分は何をするのか、したいのか?など悩みが尽きません。

    前回の掲載にも記載しましたが、現在多くの会社がクリニックの事業継承を支援しています。

    事業継承の場合、譲渡側と譲受側との意見に相反関係があり、なかなか成約できないケースがあります。重要なことはお悩みの先生方に、①お辞めになる決心をつけてもらい②それはいつなのかを決め、次に、③そのことで信頼できる方々(ご家族、知人・友人、お知り合いの業者さん、顧問の税理士さん、専門業者等)に相談しましょう。

    ④その中で、最もよい選択肢、相手を検討しましょう。

    これは人生有限であることから避けて通れない選択肢と思います。
    事業承継で成功するケースでは、年間2~3千万円の医業収益のケースの場合であれば成約する確率は高いですが、それ以下であれば、特殊なケースではない場合以外、譲渡すること自体厳しいと判断しています。

    一方、閉院・廃院の場合には、原状回復では1坪当たり凡そ10万円程度掛かっていますが、原状回復の費用が掛かるくらいだったら0円で譲ってもよいという先生も居られますが、これも中々決め手に欠けるものになっています。

    今、自分の職を投げうってしまえば、今後のご自身の生活費も気になりますので、何となく決め切らない状況です。

    これまでの経験で様々なことがありましたが、幕引きされる方法として以下の5つの選択肢がありますが、①(誰かに)事業継承する②あっさり閉院する③継続してやれるところまで診療する④負債の返済まで働く⑤やることがないから継続する、など様ざまなケースがありました。

    私としますと、唯、何となく診療を継続するのではなく、決意され、それを実行されることをお勧め致します。

    患者さんのために、地域の医療を守るため、また自分、支えられてきた家族のため、覚悟をされることをお勧め致します。

     

    今、何をすべきか?自分の幸せの未来を求めて!

    ここまでご拝読を頂きまして、ありがとうございました。

    長きにわたり地域医療を支えてこられた先生方へという思いで、『今、何をすべきか?自分の幸せな未来を求めて!』を念頭に記載致します。

    今の仕事を通じて多くの先生方と面談をさせて頂いていますが、インタビューをすると、それぞれいろいろな事情や悩みを抱えられている先生がおられます。

    厚労省が進める電子化に嫌気されていたり、親子承継を失敗されていたり、知人のリタイヤや訃報を聞いて自身の身の振り方を悩んでおられたり、ご自身や家族、知人の病気があったり、親の介護で悩んでおられたりと数多くあります。

    クリニックの承継を強く希望されている先生もおられますが、これからどうしたものか?と悩んでおられる先生も多くおられます。

    高齢で持病持ちの先生が騙し騙し診療をされていたり、特に40年近く診療をされてきた先生では、仕事を辞めた後どう生きるか、長きにわたって診療一筋でやってきて、診療以外に他に何をするのか、体力・技術の衰えはあるが、まだまだ心も体は若いしと・・・、今のまま続ける先生もおられます。

    やはり最後はご自分で生きる道をお決めになることだと思います。

    高齢になればなるほど、これまで出来なかったことをこれからやると言っても、なかなか気力、体力がついて来ないことが事実です。

    患者さんを診て、治し、患者さんに感謝されることも素晴らしい生き方と思います。

    実際、患者さんのファンが多く、「先生、辞めないで」と患者さんに泣かれたりすることもあります。

    この時はこれまでの苦労が報われた思いになると某先生が仰ってました。

    確かに、これまで診てきた患者さんをどうするのか、また、長年雇用してきたスタッフも気にかかります。

    これも全て決められるのはご自身です。

    いずれにしても時期を決められて、辞める、譲る、のいずれかを決められることが重要と思います。

    先延ばししても、来院患者は減少し、クリニックは陳腐化し、ご自身も疲弊し、結果的にご自身の自由な時間をなくすことになります。

    未来の幸せを求めて、英断を下して頂ければと思います。

     

    ※大阪歯科保険医新聞から転載でございます。

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